つい先日のことである.
馴染みのY居酒屋で馴染の先輩と利き酒をした.利き酒では湯豆腐しか口にしないのでとにかくお腹がすく.したがって,この店で利き酒をするときは,その後,2軒目,3軒目とふらふらするのだが,行く店はだいたい決まっている.「だいたい」と断ったのは,2軒目がたまに変動することがあるからで,1軒目と3軒目は固定だ.固定の3軒目がうどんやの「やたい」である.ビルの2階にあるが,1階にはパトカーランプのようなものが光っており,一応「やたい」という店があることは分かる.怪しさこのうえない.そして入りにくい.
思えばこの店を初めて訪れたのはもう5年前になるが,それ以来,店主のおっちゃんとこの店のうどんが大好きで定期的に通っている.高知出身のおっちゃんは優しくていつも色んな話をしてくるれので,この店にはかなりの思い出がある.おっちゃんはかつて石橋で屋台らーめんをやっていたが,独立する際に「らーめん屋だと競合する」という理由でうどん屋にしたらしい.シンプルでなんて潔いんだろう.最近はおっちゃんの体調が思わしくないようで心配だが,先日訪れた際には前々回よりも顔色も肉付きも良くなっていたので少し安心した.店内は場末酒場感があり,古典酒場好きならグッとくるものがあるだろう.深夜の店内に流れるラジオも良い.ラジオの音しか聞こえないなと思うとだいたいおっちゃんは寝ている.高齢だから体力的にきついだろうし,そっとしておいてあげたい.
さて,この店ではビールは冷蔵庫から勝手にとって呑むのでまずは黒ラベルで喉をうるおす.やたいの特徴はお通しの量の多さにある.冬はおでん,それ以外は棒棒鶏のようなものがでていたと思う.下の写真は既に食べ始めてから撮影したものであるため量が減っているが,通常,この2~3倍ほどのおでんが出てくる.お通しでおなかがいっぱいになる人もいるだろう.我々の場合,「やたい」は最後のシメに行くのでかなりのボリュームがあると感じる.が,おっちゃんと話しながら食べていると意外にもはいってしまうのが不思議である.
いつも頼むのは炒飯とカレーうどん.たまにおっちゃんが「カレーうどんなんかいつでも食べられる」といって頼ませてくれないが,ここのカレーうどんが無性に食べたくなるので,結局頼んでしまうのである.
炒飯の具は毎回変化しているが,豪華であることに変わりはない.
終盤になるとお腹がだんだん苦しくなってくるが,酔っているのでいつも馴染の先輩と美味しく完食する.いつもはシメに使うことが多いが,事前に予算を告げればおっちゃんが適当に美味しいものをつくってくれて,宴会利用もできる.実はこの宴会がものすごく安くて,この量とこの食材でこの値段で良いのだろうかと,おっちゃんに対して悪い気がしてくるくらいである.近々また宴会で使いたい.いつも美味しい料理をありがとう.